日本人よ、誇りを持とう!補助金獲得で酒好き2人が小規模蔵元を救う。
日本人よ、誇りを持とう!補助金獲得で酒好き2人が小規模蔵元を救う。
近年、海外で日本酒ブームが高まりをみせている。日本産酒類の輸出促進は、クールジャパン推進の一環として成長戦略に位置付けられている。
今回は、小規模蔵元の海外展開を支援するさくら酒店(岐阜県)代表取締役の駒澤健氏にお話を伺った。
店舗のない日本酒販売店
− まず事業内容をお聞かせください。
小規模蔵元が製造した日本酒の販売を主な事業としております。2013年に設立し「店舗のない日本酒販売店」をコンセプトに飲食店への販売、一般消費者向けにインターネット販売、海外のインポーターへの輸出販売を行っています。
日本の文化をしっかり学び、世界に発信したい
私と近藤(代表取締役社長)が大の日本酒好きだからです(笑)それだけではないのですが(笑)
実は、もともと我々は大学の同期で飲み仲間でした。そして2人とも大学の時に留学をしているんです。
帰国後「日本の文化をしっかり学び、それを世界に発信したい」という共通の想いを持っていました。
お互い、異国の地で「日本人であることに誇りを持って国際社会で生きていきたい」と思わされたからです。
ではどの文化がいいかなと思った時に、2人が好きな日本酒になったんです。
即決でした(笑)
− 海外における、日本酒の認知度はどのくらいなのでしょうか?
近年、認知度は高まりつつあります。
しかしながら、まだ日本酒に親しみがないという国々もたくさんあります。
また、我々は小規模蔵元のお酒を中心に取り扱っていますが、日本国内でさえも小規模蔵元のお酒は認知度が非常に低いです。
必然的に海外はもっと低くなります。海外に出回っているのはだいたい、大手のお酒や有名なお酒ばかりですね。
− 海外市場はどんなところにニーズがあるのですか?
最も売れる国は香港です。韓国やシンガポールなどアジア圏はそうですが、欧米も人気です。我々は中でもワイン大国・フランスに着目しています。
味の好みは国によって様々です。ただ、導入としていつもフルーティなお酒から入れていくのですが、それはウケがいいですね。
客層は富裕層の方が多いです。それもあって、値段が高めの日本料理店やローカルなお店に販売を行っています。
− 何故、小規模蔵元の製品を扱おうと思われたのですか?
認知が低いために売上を伸ばせていないという蔵元さんを沢山見てきたからです。
我々2人で有名無名問わず全国各地の酒造に足を運んでいますが、無名の蔵元さんは同様の悩みをこぼします。
素晴らしい文化を存続させたいと思いました。
日本酒の国内消費量が落ち込んでいるのはご存知ですか?
少子高齢化、若者の酒離れの影響もあり、日本酒の国内消費量はピーク時の3分の1まで落ち込んでいます。
それも小規模蔵元さんの悩みの1つでもあります。
大手がシェアの半分を占めており、正直、小規模蔵元が市場内競争において勝ち残るのは厳しいと言わざるを得ません。
一方、海外の日本酒人気は高まっており、平成24年に89億円だった日本酒の輸出額が平成27年には140億円になりました。堅調に推移しており、成長市場といえます。
そこで、我々が小規模蔵元さんのお酒を国内ではなく「世界」に発信する手助けをしたいと思いました。
誰でも日本酒ソムリエになれるサイト
− そこで今回採択された補助金を活用されるのですね。どのように活用するのですか?
ポイントは3つ、「SAKEシート」、「KIKIZAKE WEB」と「商品開発」です。
SAKEシートは以前から商品に付属させていました。
内容は、蔵元・味に関する説明や料理との相性などを細かく明記したもので、海外のインポーター様から多くの好評をいただいています。
駒澤さんイチオシ①「文佳人」
このSAKEシートで示していた内容を「KIKIZAKE WEB」というサイトを作って、一括閲覧できるようにします。
購入者しか見ることのできなかったので沢山の方にご覧いただけます。
我々は、マニアックで多様な品揃え、且つ細かい知識を有しているので、他社には作れないサイトとなっています。
誰でも日本酒ソムリエになれます。
また、多言語(英語・フランス語・中国語・日本語)に対応し、動画紹介などの機能面も充実させていきます。将来的には、海外ECサイトとの連携も図れたらと考えています。
商品開発は、小規模蔵元と共同で海外に焦点を合わせた商品開発で行います。
現状、小規模蔵元のお酒はあまり海外向けになっていないのです。例えば、味。国によって好みが違います。
あとは関税や酒税への対応。実は、アルコール度数の高さによって酒税が変わってくるのです。そのあたりを考慮したお酒造りを目指しています。
「日本酒は素晴らしい、日本人に生まれてよかった」と思ってほしい
駒澤さんイチオシ②「勝山」
− 駒澤さんにとって日本酒とは?
日本人としてのアイデンティティーです。
日本における日本酒消費は減っています。それはつまり、日本人は美しい日本酒に気づいていないのだと思っています。
一方、和食ブームが海外で起きましたね。外で日本のものが評価されるのは嬉しいじゃないですか。
自信や誇りを持てますよね。日本酒もそう思ってもらえるものだと思っています。
日本人に「日本酒は素晴らしい」「日本人に生まれてよかった」と思ってほしい。
そのために、海外で日本酒を高く評価してもらえるよう働きかけていきます。
企業情報
企業名:株式会社さくら酒店
従業員数:役員2名
取得した補助金:平成27年度ものづくり補助金
補助金交付申請額:666万円
業種:食料・飲食卸売業
取得時のテーマ:海外展開を図る日本酒専門販売システム構築による新たな販売方式の導入