空き家の古民家風リフォーム事業で補助金246万円
代表取締役 太田誉志氏
現在、東京都の空き家は、約82万戸あるといわれており(平成28年現在)、空き家問題が社会問題化されています。
空き家はオーナーにとっては固定資産税の問題、近隣住民にとっては治安の悪化が懸念されるため様々な問題を抱えています。
こうした空き家問題に対して、低価格な独自のリフォーム技術を駆使してその課題を解決しようとする江戸川区の株式会社富士京サービスが、ものづくり補助金246万円の採択を受けました。
そこで打ち出した、革新的なリフォーム手法について、代表取締役の太田誉志氏にお話を伺いました。
従業員の約半数が高齢者!?
− 株式会社富士京サービスについてご説明をお願いします。
弊社は平成20年に設立した会社で、主力事業は解体作業と道路舗装作業です。
従業員は13名、うち60歳以上の高齢者を6名雇用しています。
各々に一人親方として業務に当たってもらっています。だいたい月に20件ほど解体作業のご依頼をいただいています。
− 補助事業ではどんなことに取り組まれましたか?
簡易リフォームの開発・実用化とサブリース事業への挑戦です。これにより、空き家問題の解決と高齢者の雇用問題の解決、低コストでリフォームの提供を可能にします。
− 新事業に取り組もうと考えられたキッカケは何でしたか?
解体費用を捻出できない方が多くいらっしゃったことです。
弊社が請け負う解体作業のうち、約半数の空き家オーナーが解体費用を捻出できず、そのまま空き家として残すことを選択します。
更地にした場合も、固定資産税の負担が増えてしまうこともあり、空き家にしたままにしておくことが無難な選択なのかもしれません。
平成27年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」という法律が施行されました。
これにより、税制が見直され、空き家オーナーは解体か販売、賃貸等の有効活用の選択が迫られるようになりましたが、まだ問題は残っていますね。
こういった状況を目の当たりにして、空き家を賃貸物件として低価格で運用ができる仕組みづくりができたらと思い、今回の簡易リフォームの開発・実用化を目指しました。
− 補助金採択の理由は何だと捉えていらっしゃいますか?
独自性があり、社会性のある事業であるからだと捉えています。
そのポイントとして4つ挙げることができます。
- 他社には見られない独自の手法。専門的な話になりますが「珪藻土+ステイン塗装+エイジング塗装」を用いたものとなっています。
- この事業は空き家問題の解決策であること。
- 生活困窮者の負担軽減。工費を安く抑えることができるので、相場の半分ほどの家賃で提供できます。これにより、低所得者や年金生活者、母子家庭といった生活困窮者でも借りれるようになります。
- 高齢者の雇用問題に寄与していること。
− 最近話題になっている珪藻土について教えていただけますでしょうか?
珪藻土とは、藻類の一種である珪藻の殻の化石よりなる堆積物です。
かねてより、その耐熱性と断熱性に優れていることから建材や保湿剤として注目されていましたが、近年では、自然素材への関心の高まりとともに、その施工のしやすさからもDIY向けの建材としても注目されています。
5分で劇的リフォーム
− 高齢者が解体作業など大丈夫なのでしょうか?
高齢者スタッフは、これまで解体作業や道路舗装作業の実務経験がある方々です。
弊社としては、進む超高齢化社会の中で、高齢者の雇用問題を解決したいと考えており、その策として仕事確保と雇用維持を実施しています。
今回申請をした補助事業に関しても、リフォームは未経験のスタッフが多いですが、作業は簡単なので、弊社専属の高齢者スタッフなら問題はございません。
例)ベランダリフォーム
− どうしてこんなにリフォームコストが抑えられているのでしょうか?
一般的なリフォームとは違い、内装を一新するような工事は行いません。既存の内装に、綺麗に付け加えの加工をした木材などを貼り付けるような簡易的なリフォームを実施するため、築20年以上の物件であっても10万円以内でリフォームが可能です。
− どんなアレンジを施すのでしょうか?
「和から和」をコンセプトに古民家風やアンティーク調にアレンジをします。
従来のリフォームだと、洋風にアレンジをすることが多いです。しかし、古民家風にアレンジすることで見た目も質も老朽化してしまった空間を見た目は、古さを活かしたオシャレなデザインを、質は最新の技術を駆使したリフォームを提供することができます。
例)台所リフォーム
− お客様からの評判はいかがでしょうか?
お客様からは「この価格でこのクオリティの仕事をしてもらえるのか」と驚きと感謝の言葉をいただいています。また、ありがたいことにお客様には大変ご満足いただけています。
我が社の今後の業務に大変励みになりますね。本当にありがたいです。
− 最後に、今後の目標をお聞かせください!
不動産事業では賃貸物件を安く仕入れて、簡易リフォームを実施し、人が居住することで社会問題となっている空き家問題解決の一助となることを目指しています。
また同時に、市場に類を見ない取り組みとして今後の当社の新事業の拡大を目指していきたいと考えています。
最近はフィリピンからの実習生なども雇用しています。今後は若手の育成にも力を入れていきたいと考えています。
企業情報
企業名:株式会社 富士京サービス
企業規模:従業員 13 名
業種:職別工事業
取得した補助金:平成 26 年度ものづくり補助金
補助金申請額:¥2,466,000
取得時のテーマ:簡易リフォームの独自手法開発による中古空き家再生リフォーム&サブリース事業