「美しさを支援するアプリ」をエステサロンが開発する理由
代表取締役社長
岩永覚翔
ひたちなか本店、水戸店、銀座店においてトータルビューティサロンを展開するビースタイル。
本業とは別にアプリ開発も考えたいということで、ご連絡をいただきました。
平成27年度ものづくり補助金へ応募し、840万円の補助金額で採択を受けています。
ビースタイル代表の岩永氏にお話を伺いました。補助金申請をすることになったきっかけについて迫ります。
− まずは事業内容をお聞かせください。
当社は平成17年に設立し、ドクターリセラの加盟店として「女性を輝かせる」エステサロン「フェリーチェ」を茨城県で3店舗経営してきました。
アプリ開発はまったくのド素人で、エステ1本で今まで経営を行ってきました。
もっと、美しさの本質を追求したい
ひたちなかサロンの様子
− アプリ開発のきっかけは何でしたか?
結果を出したいお客様と結果をもたらしたい弊社の想いの中で、結果を出しやすい状況を作り出したかったからです。
弊社は、創業から一貫して「結果にこだわるエステ」をめざしてきました。そのための技術を徹底的に磨いたことで、メーカーが企画運営する肌改善コンテストにおいて、参加1,000店舗あまりの中で、全国1位を5年連続で受賞しています。
しかし、女性の美を追求していく上で大事なのは、もちろん技術もですが、お客様自身の意志ややる気を保つこと。
来店時のケアのみでは、本質的な美を追求する上でどうしても限界があります。
当社は他のサロンに比べ実績があるので、お客様の期待も大きく、私たちとしても期待に応えていきたいと考えていました。
それには「ご自宅でのお手入れ」や「考え方」を習慣化してもらうために、より深く理解・納得していただく必要があります。
無理をすればダイエットは十分可能ですが、ダイエットに成功しても、一定期間でリバウンドしてきます。
お客様が依存ではなく、自律的に肌状態をコントロールできるスキルや方法を身につけることができればと思い、そのためのお手伝いができるアプリを作ろうと考えました。
アプリこそが結果を出せる状況を作り出すことができると思ったんです。
− 実際にアプリを企画するとは思い切りましたね。
痩身アプリを開発しているエステサロンは少なく、当社としても挑戦になりますし、他のエステサロンとの差別化になると思いました。
新規性には自信はあります。
「エステサロンがアプリを運営できるのか?」といった懸念の声もあるかと思います。ですが、実際に美を追求したいお客様の声がエステサロンにはあるので、他社よりお客様に寄り添ったアプリを提供できると考えました。
− 企画したアプリはどのような内容ですか?
アプリ画面の様子
エステサロンに通う女性のお客様に、スマホにAppstoreよりアプリをダウンロードしていただきます。
基本的には、お客様の体重・体調・食事内容を記録してもらう日記形式で、LINE・Facebookとも連動させているので、入力が簡単です。
自分の意思をコントロールできるよう携帯アプリで毎日コーチングできるようにしています。
健康的なダイエットのためにも、ストレスのたまらない食事メニューをアプリ上で個別指導を行い、日常的にサポートできるようにしました。
それから、実際に活用してみなければわからないアプリの問題点もあると感じたため、モニターテストも行いました。
モニター公募を行い、モニター期間中の写真公開などに了承をもらったあと、除脂肪ダイエットモニターを開始。
モニターの痩身効果の様子を、モニター応募者全員に毎週メールで配信しました。
サロンではサポートができなかった日常的な食習慣をサポートすることができました。
お客様からは「スタッフの方の親身なアドバイスを普段から心がけることができました」「施術を受けないときは、アプリでのアドバイスが励みになりました。アプリ化されると、いつでもどこでも見られていいですね」といったお声をいただいております。
− 具体的にはどんな結果が出ましたか?
モニターの方々は皆さん結果が出ています。例えば、33歳女性は3ヶ月で「体重マイナス10.4kg・体脂肪マイナス13.2%」を達成しました。
− 試作段階で困ったことはありましたか?
私と現場スタッフの意見を一致させることです。あくまでも目的は、お客様の期待に応えるための「結果づくり」なのですが、つくり手の視点に傾きがちです。
それでは実際に機能しないので、その都度、現場の意見を聞き進めていきました。
しかし、私が良いと思ってもお客様と直接関わる現場スタッフからは違った意見が出たりと、意見のすり合わせには時間がかかりました。
− 結果にこだわっているようですね。
数々のコンテストの賞状
創業時より一番こだわっていることです。
この業界は「結果に対する意識」を謳っているところがほとんどです。しかし、一人ひとりが技術をしっかりと磨くことができているか?
というと必ずしもYESとは言えないと思います。
結果を意識していると謳いながらも実際は売上アップを意識していたり、実態が伴っていないのです。
エステ業界は伸びていないのですが、そういったところが一因ではないかと捉えています。
我々は言葉だけではなく、技術を磨いてきました。
数々のコンテストで賞をいただき、目に見える形で証拠を残し、何よりも結果に意識を置いていることを体現してきました。
今後もそのスタンスに変わりはありません。
このような我々の考え方や取り組みが他のサロンの見本となれば、業界はもっと伸びていくと思っています。
− これから何を目指していきますか?
弊社の経営理念は「心を鍛え、技術を磨き、一流のひとづくりを通して、世の中に貢献する」です。
エステの世界は「職人」の世界ですので、技術の土台となる「人間力」が重要です。
どんなに素晴らしい製品も、技術も、それを提供する「技術者」の「人間性」がその価値を決定します。
「心が一流になれば、技術も一流になる」このように考えます。技術者の「ものの味方や考え方」などの「価値観」を高めていくことを第一に考え、向上心は当然ですが、滲み出るような「謙虚さ」であったり、自分の課題に真摯に向き合うこと、問題から逃げない…、そういった「心の強さ」を鍛えることを人財育成の第一に置いています。
このような「人づくり」を通して健全な経営を行い「社会に貢献する」ことをこれからも重視していきたいと思います。
アプリの課題もまだまだあるので、今後少しずつ解決していきます。
ありがとうございました!
企業情報
企業名:株式会社ビースタイル
従業員数:従業員20名
取得した補助金:平成27年度ものづくり補助金
補助金交付申請額:8,446,102円
業種:洗濯・理容・美容・浴場業
細分類:エステティック業
取得時のテーマ:携帯アプリと電波美容器を活用した生活習慣改善指導による新規顧客層への展開